空飛ぶ風船 風に攫われ 向う先は、天より高く。 天より、高く。 Last week-4 to 2-

テーマパークのキャラクターがプリントされた、 風船が小さな子の手から空へと飛び出す。 小さな子の泣き声に逆らい、 風船は晴れた空に高く舞い上がってった。 「秕奈、何から乗る?」 「決まってるじゃない、絶叫系、全部乗りまわそう!」 「えー、お前大丈夫なのかー?」 「うるさい〜、平気です!」 ジェットコースターに 急流すべりに メリーゴーランドに お化けやしき。 全てのイベントを心の奥に刻んでおきたい。 そう思っても罪にはならないよね? たとえ、いつか忘れたとしても、 奇麗事であっても。 平日なのに、混んでいて少し人に酔ったけれど、 はぐれない様に、っていう理由で繋いだ手が、 私をドキドキさせた。 あっというまに、蒼かった空は夕焼けの色になった。 こんがり、柿色。 「それじゃあ行こうか。」 「?」 「遊園地の最後はやっぱりあれでしょ。」 多紀に手を引かれながら、私達が足を運んだ所は、 「観覧車・・・?」 「ほら、並ぶよ。」 最後に観覧車。 とは、そのへんのカップルにとって当たり前なのだろうか。 家族で並んでいる人の数より、カップルの数が多い。 私達が観覧車に乗りこんだときは、 もう空は闇に包まれかけていた。 そしてその時、ブラックホールの事を思い出したのだ。 「多紀、私・・・アナタに言って無い事が、一つだけあるの。」 それは、私が明日、宇宙船に乗りこむために、 日本を立つという事。 もう、迷わない。 迷う理由なんて無いし、 私はなによりあなたに隠し事などしたくない。 言ってしまおう。 そして、こう言おう。