涙も出した。 想いも出した。 想い残すは、 あなたを残して 地球から逃げる・・・私の事だ。 Last week-4-

約束の時間よりも、早めに出る。 場所はいつもの公園。 家の前の公園で、そしてブランコにのったあの夜。 思い出すと、やっぱり恥ずかしかったけれどあの時涙を流さなければ、いつ流したのだろう。 ただ、嗚咽と共にゆっくり、しゃっくりを上げながら 多紀にしがみついて、そして全て話したあの夜。 空を見上げて見る。 晴れていて、さんさんと注ぐ日光も、浴びてられるのはあとわずか。 空には蜘蛛ひとつなく。 明るくて、暗くなくて。 ブラックホールはまだ見えない。 でも、明日テレビできっと報道されるであろう。 もう明日、この蒼を見る事は出来ないのだろう。 あぁ、一度でもいいから、空を飛んでみたかったな。 願いは果かなく、空へと吸い込まれる。 「秕奈。」 「あ、おはよう多紀。」 午前8時、木曜日。 私達は昨日約束した通り、遊園地に行こうとしている。 ずっと温めていた気持ちを多紀に言って良かった。 最後を多紀と過ごす、理由が出来たのが、 どうしようもなく、嬉しかった。 二人で笑いあって、手を繋いで、 そしてその温もりを感じて。 幸せで、すごく・・・幸せで。 でも、後少しで、全てが無に還るんだと思うと、 悲しくて・・・。 でも、ぬくもりが嬉しいのは偽りじゃない。 幸せだった。 駅までもう少し。

そんな地球滅亡宣言4日目の、朝。 向うは駅へ。 はにかみ会う二人の朝。